秒読み
刻む、油の切れた接触部が鈍い音を出しながら時を刻んでいる。
その時計の針は常に僕の頚動脈に触れ、力強く押し付けられている。
目が覚めたとしても、決して夢から覚めることは無い。
ベッドが醜く軋む、布団が体液に染まり、不快な臭気を発する。
いくらもがいても、思い出から夢の中への体重移動を繰り返すばかり。
白く吐き出された己の欲望は身体を蝕み、染み込んでいく。
自堕落を背負ったままの瞼は自身の役目を忘れ、景色を霞みがける。
一体いつまでこんな時間を過ごすつもりなのか。
明日もまたくり返す事になるであろう「毎日」。
最早高鳴る動悸は初恋の色に非ず、吹く風行く風すべて温風。
運命の輪から脱する事さえもが「運命」、いつまで経っても手のひらの上。
網膜のスクリーンに映るものが真実だというのなら、両目を抉り捨てよ。
求めるものこそが煌きの都市の訪問者である。そのとき、門が開かれる。
光に満ちた「その先」を掴み取れ、成功はその手の中にあり。