自転車に乗って/SUIKA
空がとても青く、雲も白かったので、
今日は自転車で遠くに行くことにしました。
知らない町へ行ってみたくて、
知らない道を探しては通って見たのですが、
結局は知ってる町へと出てしまうものなのですね。
知ってる町とはいえ、この街に来たのは5年ぶり。
中学生のころを少し思い出しました。
ああ、空が広い。視界いっぱいの青空です。
道の両脇は畑や水田、高い建物は一切無い。
僕は熊本の中心街の方に住んでいるので、
こんなに広い空を見ることはめったにありません。
なんだか嬉しくなって、涙が出てきました。
この道の先には何があるのだろう。
僕は知ってます、この先に何があるか。
知らない町へという目的は果たせないけど、
それと同じくらい素敵な場所があるのです。
一昨日のこと、夕方に古本屋に行きました。
するとどうだろう、半袖のTシャツじゃちょっと寒い。
ずっと続いて欲しかったな…。夏の終わりを、感じました。
夏が終わり、本格的に秋色に染まる前に、
夏にさよならを告げたいというわけではありませんが、
この晴れた日、最後に、夏を感じたかったのです。
この道の先に、僕が求めているものがあります。
そう、海です。熊本港までやってきました。
海の青さは空の青色、写真はちょっと画質が悪いです。
コンクリートを這うカニさん、がらんとしたフェリーの待合室、
そして中途半端に冷え切ってないペットボトルコーラ。
思えばここにくるのは大学受験時代の夏以来だなあ。
あの頃の僕が一番不安定な時期だったと思う。
思い出してみると随分と細かいことを気にしてたもんだ。
今が割り切りすぎ、ってのもあるんだろうけど、
高校生のときの自分は本当にガラス細工みたいだった。
光を屈折させたりさ、脆く欠けやすいという点で。
あの苦悩は今となってはまるでわかりやしない。
去年の夏、学校に行かないでここで船を見てたんだっけ。
先生に怒られて、学校やら受験やら全部イヤになっちゃって。
あの時も空は青くて、雲は真っ白だったなあ。
大学生になってから、来年もまた来よう、なんて思って、
それからお母さんにごめん、って電話をしたんだ。
あの頃思ってた大学生とは違う大学生になっちゃったけど、
まあこんなものでしょう、これはこれでいいんじゃないかな。
毎日が充実してますよ。詰まりすぎという気もしますが(苦笑)。
これでもう、夏に悔いはありません。
ではまた来年、お会いしましょう。