バニラソルトラプソディ

先月の終わりあたりの話だったかな。
授業中に一枚の紙が回ってきた。
出席確認表かな、と思い受け取ってみると、
そこには「懇親会」と可愛らしい字で書かれていた。


参加希望者は名前を書いてください、と。
どうやら塾生がアンオフィシャルに企画したものらしい。
全く以ってばかばかしさを感じた私はすぐに、
名前を書くことなく隣の席の人へと回そうとした。


しかし一瞬思いとどまった。
懇親会の予定日が11月第一金曜、週末だ。
そうして明けた懇親会後の月曜日の教室を思うと、
やはり参加しないわけにはいかなかった。
ひとり教室の片隅で澄ましてるのも悪くない、
だがいつネガティブな自分が飛び出して、
「みんなの輪に入りたかった」と言い出すかわからない。
少しだるいなと思いながらも参加表明することにした。


そして11月第一週の週末。
特に懇親会の連絡もないまま予定日になった。
企画倒れでもしたのだろうと勝手に思っていたのだが、
金曜日の授業終了後、みんなの様子がおかしい。
急いで、しかしどこか楽しそうに荷物をまとめている。


「集合場所はあそこだったよね」「急いで行かなくちゃ」


そんな声があちこちから聞こえたが知らないフリをした。
いや待てどうしたなにがおきてるどうなったどうした。
集合場所?集合時間?会費の徴収?どれも聞き慣れない。


そう、僕には懇親会の連絡が回ってきてなかった。


どうして連絡がこなかったのかそれはもうどうでもいい。
どっちにしろ会費を払うほどの余裕もないしね!!!


はぶ・・・。いやいや、手違いだよ手違い。
その日はテキーラを買ってきた。


んで、懇親会明けの雰囲気が怖くて、
月曜火曜と引き篭もり、水曜、やっと登校した。
懇親会なんてあってもなくてもそう変わってないさ。
いつも通りの教室だよきっと、と言い聞かせながら。


しかし予備校は大きく変わっていた。
教室に入るなり騒々しさが一気に流れ込んできた。
それぞれいくつかグループが出来ていて談笑している。
和気藹々として楽しそうだ。笑顔や盛り上がりが絶えない。
今までならほとんどの人が着席していて、
自習したり、知り合い同志ならひそひそ話してたり、
基本的には静かな雰囲気だった、のにだ。


隣の席で、いつもひとりで自習していた子も、
友達が出来たのか移動して話している。


恐れていたことが起きた。馴染めない。
懇親会の力を舐めていた。みんな友達状態。
僕は席でひとり。話す相手はいない。


まあいいけどね。
精神的に打ちのめされて心が折れた感はあるけど、
そんな気がするだけで実際は捻挫程度、まだ折れてない。

はず。


ああ、人間って孤独に慣れることはないらしい。
孤独に耐えることと、諦めることはできてもね。
強い人ってのは孤独じゃないことを認識してる人。
だから大丈夫、僕は自分が孤独じゃないことは知ってる。


まあ寂しいかと聞かれたら寂しいけどな!!


今日の一曲。
bee gees - more than a woman

映画・サタデーナイトフィーバーのワンシーン。
このシーン以外でもちょくちょく流れてるよね。Good。